我慢であなたが強くなるわけではない、度を超えた我慢はあなたを壊す

我慢する＝逞しくなる　と勘違いしていませんか？　我慢が悪いわけではありませんが、問題は自分が傷ついてしまっていることを無視してしまうことです。無視された痛みは潜在意識に蓄積されて肥大化して、いつか爆発してやろうと時を狙うテロのような存在になってしまいます。傷つくのは、頭で考えることではないので、痛みは意識に関係なく自分の中に素早く取り込まれていきます。

私が美しい夜桜を自分の惨めな痛みと真反対に美しいことが衝撃的で、「悲しみ＆痛み」＝「美しい桜」と定義づけてしまったように、自分の顕在意識がどうこうする暇なく一瞬でインストールしてしまうのです。我慢しているつもりで、ドンドン自分が壊れていっていることに私は気づきませんでした。命さえも落としかねない危険にさらされたこと、それを仕掛けた人が夫（これから生まれてくる子どもを慈しむはずのパートナー）だったことに、私の心は理解不能で完全にキャパシティを越えていたのだと後で気づきました。だから、PTSDになったのです。

美し過ぎる桜は、私にとって心が壊れた「度を超えた痛み」とイコールになってしまったのです。

痛みを手放す…　という感覚で、初めて人は逞しくなる

これを手放すには、「とにかく傷ついた、痛みがあった」という事実を受け止めることです。認めてあげて、泣けるならひとしきり泣くことです。受け止めることで我がものにし、それを癒やすという段階に進めます。そのためにカウンセリングなど人に話す行為が非常に効果的です。人に吐き出し、自分に起こったことを整理できると、癒やすという治癒段階に至ります。私もカウンセラーのところに何回か通いました。すぐスッキリしたとか、すぐ治るとかではないですが、なるほど～というキーワードは手に入りました。

「あなたはずっと戦ってきた（結婚生活16年）。あなたはいつも剣を振りかざしていた。いま、振りかざさなくて良い状況になっても、どこに鞘があるかすら解らなくなっているから、剣の戻し場所がわからない。」

桜事件があってから10年後、離婚するために息子を連れて逃げて少し安心したら、鬱になっていた自分がカウンセラーから聞いた言葉です。

鬱になった自分を受け入れたことで、傷のかさぶたが出来てきたのでしょう。痛みは治まり、かさぶたの下では新しい皮膚が育ち始めた13年後辺りで私は桜がキレイだということを思い出しました。
傷が出来たと自覚がないままケアをしないと、生傷から血が流れ続けているかもしれません。傷が出来たことを自覚し、手当てし、かさぶたになった段階で剥がれるその時に向けて、心の逞しさが芽生えていきます。

今を感じる、今を楽しむ感性を持ててこそ、未来は開けていく

自分が痛かった体験を踏まえて起こったことから学習し、自分の心が受けた痛みの度合いも分かってくれば、私達はそれらを客観的に眺められるようになっています。そして、同じような痛みの人に寄り添えるゆとりも優しさも持てるようになり、人を助け、寄り添えたり、導いたりできるようになると、私達はその傷にすら感謝できるように変ってもきます。もちろん、同じ体験はしたくもないですが、自分が痛い思いをしたからこそ人を支えられると自覚し、喜びを感じ、未来を向いて歩いて行こうと思えるようになります。

苦しんでいるあなた、あなたは未来を向けるようになるために今、鍛錬しているのですね。今を感じることで、たとえそれが痛みであっても、受け止めていけば光りがさしてきます。受け止めるとは、抱え込むことではないのです。あなたの痛みを抱え込まずに吐き出しましょう。
身近な誰かでもいいし、プロでもいいし、友人でも恩師でも、大切な故人でもいいのです。

痛みと悲しみの記憶を自分の逞しさに変えて…

桜を見上げることができるようになった13年後、私は自分の傷が癒えたことを悟りました。同時に度を超えた傷を負ってしまった自分がいたことも、もう悟っていました。悟ったからこそ、傷が消えていったのでしょう。記憶はきえません。恐ろしかった描写は私の中にまだあります。でも、私はその記憶に怯えてはいません。受け取った自分の強さを信じて生きる方がずっとステキで、意味があるとフォーカスしているからです。

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