あるお客様からリクエストを頂き、色を認識する際の奥行きの深さが聴きたいと言われました。同じ色のことを説明するのでも、私の口から出る言葉にとても納得するものがある… と言っていただきました。ありがたいことです。私は、服業界中心に色を見続けてきて、「似合う」という言葉の意味をずっと追いかけてきました。
パーソナルカラーという言葉をどう捉えているか? 私の場合
私がパーソナルカラーという言葉を殆ど使わないのには意図があるのか?とご質問を頂きました。正直に言うと、キライです。世の中でもう20年ももてはやされたであろう「パーソナルカラー」は、似合う色を探す行為であることは同じです。が、私が著書「服で、損する人、飛躍する人」を書こうと思ったのも、タダ表面的な都合の良さだけを追い求めて服を選んでいる人が多すぎること、そして診断する側の人も、ただ判断することでビジネスを上手くいかせたい人が前のめりで間違い診断を増やしてきた現実があり、「魂が喜ぶ色を着ることで本当の自分に戻す」という私の信念とはかけ離れたものだと感じざるをえません。
そのため、一般的な「パーソナルカラー診断」という世界とは私は異なる位置に立っていると思っています。私は自分に戻す本来の色という意味で「トゥルーズカラー」と名付け、「心と色を統合して魂の次元を上げる色」と説明しているのは、そのためです。
流行色という流れの中とは少し違う、春の緑の位置づけ
春の季節になり、「あ~、春はるだぁ~!」と感じる代表格に緑系があります。鮮明で綺麗な緑は、春に登場し、秋にはカーキ系に変貌するので、爽やかな緑は春と初夏くらいです。でも、初夏は陽射しの強さにともなって明るいより鮮明で濃い方が夏らしいので、「淡い」「綺麗」「爽やか」といった言葉で表現される色は、やはり3月4月のイメージとなるでしょう。芽吹きの春…の喜びを味わいたい私達の自然な欲求です。
それとは別に存在するのが、インターカラーという各国に代表的流行色決定機関が参加している会議で2年前に決まる「流行色」です。結果的にこの筋書きに乗って世界の産業界の色は予め決められているので、「今年の流行色」というキーワードは、2年前に決められたものが、糸 →布 →服(商品)→売り場(店頭)と言う流れで2年の月日がかかり、今、消費者が見ているということになります。なので、この流れの中で、緑系にスポットが当たっていない年もあり得るわけですが、四季のある国で春を感じたい心境が人にはあるので、ごく僅かでも緑系が登場するのが春ということです。
イエローベースの緑は黄緑が軸、でも爽やかな黄緑は春しか手に入らないので、差し色として必ず入手すべし
兎に角イエローベースの人は、黄緑が軸です。この色相が変化することで、スプリングなのか、オータムなのかの違いが出てくるわけです。
仮に、下の日本語色名の萌葱がまあまあ標準値にちかい黄緑と仮定すると
萌葱(黄緑) → 白で薄める → 苗色
→ 少しの明るいグレーで薄める → 若草色
→ ライトグレーで薄める → 若葉色
→ 多めのライトグレーで薄める → 菊塵
→ ミディアムグレーで薄める → 若苗色
→ ダークグレーで薄める →草色
因みに青竹色は青緑系(イエベにとっての青色)、 若竹色は緑系(ブルベの緑色)に入りますので黄緑ではありません。 黄緑の綺麗な色を持っておくことをお薦めするのは、スプリングもオータムも同じです。ただ、オータムはが使う差し色の綺麗な黄緑は、スプリングのような黄緑より白が多い淡さの黄緑では軽すぎて浮くので、あくまで鮮やかで彩度の高い黄緑にとどめておくといいでしょう。
黄緑は鮮やかなものでも、くすみのカーキ系と組み合わせるととてもスパイシーな役割を果たしてくれます。スプリングの方はグレーの配分が多いくすんだ黄緑より、白で薄めた清らかさがポイントです。
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