私がサラリーマン時代に人事教育の仕事をしていた時に、脳裏に焼きついたひとつの言葉があります。
職業人意識調査というチェックリストの資料に目を通していた時に、どうしても腑に落ちないフレーズがありました。
「できないことをできないと言うには職業人として必要である」
このシートは〇☓で答えるもので、この正解〇だったのですが、20代の私は☓だと思っていたのです。
なぜなら、出来ないと諦めてしまうのは職業人として自分ののびしろを摘んでしまうし、やる気のない人と思われてしまうじゃん!とおもっていたからです。 なのに正解は〇なのです。
どうしても解らない私は上司に確認しました。
自分の自己満足や体裁よりチームで果たす成果という価値観
上司はこう言いました。
「もし出来ないと解っているのに、それを隠し出来るかのように装っていて最後に出来ませんでしたじゃ、仕事として結果が出ないばかりか後でそれをフォローしなきゃならないチームに多大な迷惑がかかるでしょ? 初めから解っていれば出来る誰かに回すなり補う次の対策が打てるから、出来ないと思った時点で早く報告しなきゃだめなのよ。」
お~!そういうことね! 若い私は自分ができるか出来ないかという自分の評価的目線でしか仕事をみれていなかったのです。
チームの共同作業は共感を育み信頼という価値観を育てる
これ以来、新入社員研修を担当した私はここを大切にしていきました。 はじめから「できません」は職業人としてありえませんが、どうにもならないと解ってもなお、その問題をひた隠しにしてしまった時の仲間やチーム、ひいては会社に与える痛手に目が向かないようでは困るという訓示は、入社時に一度受け取っておくべき内容だと思います。 チャレンジしても上手く結果が出ないこともたくさんあります。できないことは恥なのではなくて、出来ないことを隠そうとして人に余計に迷惑をかける自分勝手が恥なのです。 助け合う、補い合うという信頼を築くには前向きな降参も必要です。
まとめ
あなたは「できない」ことにトラウマがありますか?
もう30年も仕事をしてきた私にも出来ないことはたくさんあります。だからこそ、自分の弱みも知って強みを活かすことで、人と助け合って生きていける喜びが受け取れるのです。
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