先日、長らく働いていた職場を離れ、転職を決意したクライアントがいました。
その方は、会社の成長を願い、自社の問題点にも冷静に目を向け、自分の立場で出来ることを責任を持って果たす以上に、上長への提案や周囲へのフォローも積極的にやっていました。素晴らしい働きぶりで誰からも信頼され、その部署の柱のような存在です。年齢は42歳。 ・・・となれば、課長さんかな? と想像すると思いますが、なんと、一般職・・・。
会社が社員に甘える実態は優良な社員を失う
このクライアントのケースもそうですが、前向きで成果をだし、同僚にも慕われ、会社成長のために提案する意欲まで見せる人が、それなりの年齢で一般職のままにされ、給与もそのままでモチベーションが永遠に続くわけがありません。この会社は女性が管理職になる考えを持たない、男性優位の昭和の化石のような社風がありましたので、私は以前から転職を視野に入れるべきだと話していました。
やりがいも当初からあり、同僚との関係も、部下との関係も良好にできるこの方が10年もの時間、まったく昇進がないのは異常としか言いようがありません。まさに、会社が優良社員に甘えてあぐらをかいている状態です。
適正な立場、適正な環境があってこその活躍の場
仕事しないで給料を泥棒している人もいれば、この方のように立場以上の働きをしても給与も上がらず昇格もしないケースもありますが、実力のある人は他でも出来るので辞めてしまいます。そうするとその組織はパワーダウンし、それを持ち直すまでに時間も労力も倍以上かかるでしょう。新たに人を雇うためには当然経費もかかるので、それこそが損失だと気づかない経営層はセンスがないとしかいいようがありません。組織をきちんと機能させるためには、人的パワーバランスを読むセンスがないのは致命的です。いくらでも人を集められるごく一部の大企業でなければ、優秀な人を失った穴を埋めるのは容易ではありません。
私は小売業の全国展開の会社で人事をしていた経験から、店長一人が変わるだけで店が利益上位店舗になったり、赤字店舗になったりするのを目の当たりにしました。たった一人のマンパワーで何百万の利益が変わります。利益を出し続ける人は出し、出さない人はずっと出さないものです。「企業は人で決まる」とつくづく思ったものです。
周囲との協調を重んじて我慢や妥協をするうちに鬱積する不満
仕事が出来て、現状の立場に不満を感じ始めたら、あなたは次のチャレンジをする時です。その場で革新をするのか、環境を変えるのかは状況判断ですが、違和感は自分に相応しくない「何か」を感じ取ったからこそ、不満という感情を受け取っているのです。それを何となくで流して掘り下げないまま経過することで、水面下にストレスを貯めていくことになります。見ないふりをしても水面下で溜まっていくストレスは必ず出口を求めて、あなたに様々な違和感や反発行動を仕掛けてくることになります。
不満を抱くのは、良くないことだと思い込んでいる人も少なくないようです。不満は反乱を招くという図式は確かにありますが、意見が対立することと争いが起こることはイコールではありません。意見は意見として個人の中にあるひとつの考え方ですから、好き嫌いはあっても、善し悪しはそれぞれの価値基準の下にあります。それぞれの人が本当に意味で自立していれば、それは優劣を付ける争いごとではないのですが、意見が対立すると勝ち負けが存在しないと気が済まない人がいます。これが恐れを持っている人です。
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